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京都南座 1988年8月5日〜28日
<スタッフ> 原作:川口松太郎 脚本:追間健 演出:田中林輔 <キャスト> 葵新吾:京本政樹 お鯉の方:岡田茉莉子 お縫:石川ひとみ 綾姫:山本博美 梅井多門:遠藤多津朗 他 昭和34年、京本さんが生まれた年に故大川橋蔵さんの主演で「新吾十番勝負」(川口松太郎原作)が封切られ、 以後8本のシリーズが作られた時代劇の舞台化であります。 師と仰ぐ橋蔵さんに「新吾を下さい」と頼み込み「やるんだったらニュー新吾で…」 のお許しを得て実現にこぎつけました。 京本政樹デビュー10年目の悲願、初座長舞台の幕開けです。 美女丸(京本政樹)は父母の名も知らず秩父の山中で梅井多門(遠藤太津朗)に育て られながら共に育った女剣士お縫い(石川ひとみ)を相手に剣の修行に励んでいた。 ある日、美女丸はお縫いに絡できた黒田藩士を弾みで斬ってしまう。裁きを受ける 為、美女丸と多門は九州、福岡城へ。 黒田藩に到着した二人は黒田藩主政綱(大谷友衛門)に詫びを入れるが「切腹」を言 い渡される。 切羽詰った多門はついに美女丸の身分を明かす。父は8代将軍吉宗、母は側室お鯉の 方。二人の間に生まれた長男です、と。 初めて知る出生の秘密に釈然となる美女丸だった。「見れば吉宗公にうり二つ」と 政綱は真意が判明するまで城内に留まるらせる事に。 美女丸の身を案じたお縫いは江戸表へ上がりお鯉の方にすがり付き、幼い頃行方不明 になった我が子の存在を知ったお鯉の方は、窮地に立たされた美女丸の救出を吉宗に哀訴する。 「私情に溺れて政道を乱す事は出来ない」と突き放す吉宗であったが、松平頼安 (外山高士)を通じて密かに手を打っていた。 案の定、美女丸の存在を知った老中井上河内守(板東春之助)は江戸入りを阻止しよ うと刺客、武田一真(田中浩)を向かわせる。 一方、美女丸は政綱の妹綾姫(山本博美)とお鯉の方の名代として吉宗の親書を携え やって来たお縫いに振り回されていた。 吉宗の親書には以後、名を『葵新吾』と名乗らせる、とあった。 綾姫達や刺客から逃れた新吾は福岡〜大阪を後に京都へと辿り着く。刺客に襲われ老 中一派の企みを知った新吾は無益な争いを避ける ため生涯父母に逢うまい一介の剣士として生きよう、と心に誓う。しかし京洛北の寂 光院を訪れた時、院主漣照尼に「子を想わない親はいない」とやさしく諭され久しぶりに心洗れた新吾。所司代牧野播磨(武周暢)の 悪行三昧を聞き、持ち前の正義感からついに祇園へと 乗り込む。 その頃、宿敵武田一真は新吾の名を名乗り辻斬りを働いていた。一方江戸城では井上 河内守が吉宗とお鯉の方に新吾の乱行を訴え厳しい 処分を迫っていた。吉宗が決断を下そうとした時、頼安を従えて綱政が現れ事の真相 を明らかにする。流石の河内も痛い腹を探られ引き下がらずを得なかった。 京より江戸に着いた新吾であったが政道に波風を立てさせまい、 と頼安の江戸下屋敷で身を隠していた。 果たして新吾は親子対面が叶うのであろうか?波乱を含んで大詰めへ……。
思い起こせば『次郎長三国志』のロケを見に行った時、ふっと漏らした言葉「新吾
なんてやらないのでしょうか!?」に殺陣師、谷明憲先生が「京ちゃんやるよ♪」といとも簡単に仰るではありませんか!!飛び上がる衝動を抑 え「ど・何処ででしょうか?」「南座だよ〜」 それから期待と不安で待つ事、8ヶ月余り。とうとうその日が来てしまいまし た。 南座に葵のご紋が入った【京本新吾見参!!】の垂れ幕を見た時、不安は一気に何処 かへ飛んで行きました(泣)。 幕が開くとスモークの中、舞台中央よりセリ上がっての登場です。 美剣士姿(新吾)で立ち回りを披露〜のっ気からただただ見惚れるばかり。奈落に下 がる時のカッと見開いた目は瞬き一つせず、ファンの心を 掴んでもう離しません。 再び登場は剣の修行中である美女丸。九州、福岡城で出生の 秘密を聞き苦悩する表情は母性本能をくすぐります。 新吾には「甘さ、気品、それにお色気が必要〜」と橋蔵さん曰く…初めての新吾では あるが京本さんにはもう!三拍子揃ってそうよ♪ 見所は大詰めのお鯉の方との対面&その後の大立ち回りです。 目の前に突然現れた母。許して〜と頭を下げるお鯉の方に新吾は「母は死んだものと 思っていました」と、つき跳ねようとするが……。 「19年間一度たりとも忘れたことは無い」と言う母の言葉にちぢ乱れ動く新吾の心。 「忘れよう会うまい、と思っていました。でもこうして会って みると…」と、ついに母への想いが溢れでる。 しかし、生まれてから一度も母と呼んだ事が無い新吾には、ただただお鯉の方にす がって泣くしか出来ず。お鯉の方はそっと優しく新吾の背を抱く。 シーンと静まりかえった中で京本さんの泣き声が響き渡り、やがて場内はもらい泣 き、すすり泣きの波〜となる。私も涙と鼻水とでぐちゃぐちゃ(^_^;) 鼻水を拭く間も無く、お鯉の方と新吾を暗殺せんものと河内一派が斬りかかる。2〜 3分の大立ち回り、思わず「マサキ!カッコイイ♪」叫んでいましたね〜〜。 「あれはコンサートのノリだと」言われながらも京本さんの殺陣は血 が、血が騒ぐのです!! 楽日には両手を広げて決まった時は思わず涙が出ました(T_T)。汗が舞台に落ちるの が解るほどの一生懸命さが伝わって来るの〜ですもの。 はたして新吾はお鯉の方を「母」と呼べるのだろうか!?大詰め花道を去って行く新 吾。お鯉の方に呼び止められついに「母上!!言えました。 母上〜〜〜」何度も何度も呼んでみる、19年間を埋めるかのように。 楽日は「母上 !!」で声がひっくり返るというハプニングが。 その京本新吾の目には一杯涙が光っていました。又しても母性本能がくすぐられます。 女泣かせな京様だ♪ ほとんど出ずっぱりで、実に7回もの衣装変え(カツラも数回)座長ゆえの大変さは 計り知れないものがありました。 しかし若き座長に、東さん岡田さんを初め総々たる役者陣の皆さんは稽古から「手取 り足取り」盛り上げよう〜として下さった…との事。 特に、役の上でも恩師であり京本さんから親愛の情を込めて「オッサン」と呼ばれて いる遠藤さんは、新聞に「必死でかばっている」と書かれたほど。 こうして皆に愛され期待され、役者として鍛えられ?京本政樹は大きい一歩を踏み出 しました。 第2部 『オンステージ』 ♪パラパーン〜 の【必殺のテーマ】に乗せて”絽”の着流しでスポットに浮かび上 がる、斜に構えての京本(竜)さん登場!生唾が出ます。 「オォ〜♪」と言うどよめきの中、「荒野の果てに」「闇の道」「女は海」「哀し み色の…」の必殺メドレーを唄う。 昨年までは南座の8月と言うと「必殺まつり」だったのです。京本さんもレギュ ラーとして過去2回出演した、いわく因縁つき?の座長公演。 着替え中、新曲「ブルーアイズメモリー」が流れ、京本さんは「風のセーラ」を歌 いながら紫のタキシード姿で再び登場。 ファンからのプレゼントを一つ一つ丁寧に受け取り ながら「何回目?」とか「… ですか?」等と声を掛けて下さいます。その一瞬ファンにとっては京本さんと『二人の世界♪』。癖になります、辞められません、ファンである喜びをかみ 締める時なのです。 ”大阪出身なのでこんな曲を選びました〜”と「悲しい色やねん」「大阪で生まれ た女」を熱唱する。目を閉じて上向き加減に陶酔していく表情がたまりません。改めて惚れ直す、ウ〜ンいい男(*^_^*) トークの時、目が合うと「・・・ねッ?」と同意を求めらてドキッ!前列に座って いると『命』がいくらあっても足りないよ〜〜〜!! 曲は「月の光で…」「I can’t say」と続く。名文句「今日観たからと言って明日 観てはいけないと言うことはありません・・・」に釣られて再度南座へ足を運んだ方、目に殺られて来ちゃった方、貴女はどちらでしたでしょうか?? 幸せな時は瞬く間に過ぎ行きエンディングはこの曲で締め括りです。「星影の関係(リエゾン)」♪出〜来る〜なら、この〜ままず〜っと…一緒にいたかった。 【楽日】は「恋人も濡れる街角」のおまけ付き♪そして「楽日はロックをやる よ〜〜♪」の約束どうり「今日は思いっきりロックします!」と宣言!! 「I can’t say」「香りが消えた夜」「愛はセレナーデ」で歌舞伎の名門南座は 大阪新歌舞伎座同様、京本政樹のロックで大きく揺れた。 ファンと京本さんの心が一つなり、皆泣きながら歌い応援する。 橋蔵さんとの思い出を語りながら声を詰まらせる京本さんに「泣いちゃダメ!」「マサキ頑張って!」の声が飛びかう。 やはり最後はこの曲「星影の関係(リエゾン)」♪出〜来る〜なら、この〜まま〜ず〜っ と…一緒にいたい、終わらないで、と誰もが願いつつ……。 汗と涙と感動をありがとう♪いつか又、南座で新吾とSee You Again…京本座長!!38回公演お疲れ様でした(^.^)/~~~ 1988年8月上演
Written by:小雪、Drawn by:竜歌 |