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<スタッフ>製作:角川春樹 原作:赤江瀑 脚本:中村努 成島東一郎 監督:成島東一郎 助監督:吉原勲 音楽監督:山本邦山 プロデューサー:市古聖智 <キャスト> 大迫駿介(古尾谷雅人) 大迫剛生(京本政樹) 大迫明彦(北詰友樹) 大迫耿平(田村高広) 秋浜泰邦(渡辺裕之) 秋浜ヒロシ(清水健太郎) 大迫雪代(五月みどり) 大迫香子(佐藤友美) 研師慶山(宮口精二) 枝村の祖母(原泉) 泰邦の祖父(浜村純) 駿介の叔父(岡田英次) 第1回角川小説賞を受賞した、赤江瀑の耽美な世界を映像化した名作。 この作品の前に「雪華葬刺し」に出演した際の記者会見にて、原作者から名指しで指名があったという逸話も頷けるほど、京本さんにはピッタリな役どころ。 総登場時間は20分にも満たないぐらいと短い登場でありながら、そのインパクトは強烈で、この映画を見た人の心の中に鮮烈に刻み付けられる人物でした。(俗に言う「おいしい」という部分も含め) 登場の初めからインパクト充分で、南フランスのラベンダー畑に真っ白いシャツにジーンズ姿で佇む青年、それが京本さんでした。 (義兄の妻に)「とても美しい人ですね」というセリフに「あなたのほうが美しいですから!」と突っ込んだ人も多かった事と思います。 この撮影が、例の右足踵骨折中で車椅子でフランスに行かれたわけですが、撮影中、フランス料理に飽きて日本食が食べたくなったとか、「足に入れるスポンジまでフランス製でね」と相当ストレスを感じていらっしゃるらしいのを、当時の雑誌インタビューで拝見したのを憶えています。 違う雑誌でも、古尾谷雅人さんとの対談で、「ただ歩いてるシーンの撮影で、監督に怒鳴られた」(古尾谷氏談)と仰ってましたので、相当こだわりのある監督さんだったのだろうと思われます。 ギリシャ神話のオイディプス(エディプス)は、父をそれとは知らずに殺してしまい、母をそれとは知らずに交わってしまう悲劇の人物。エディプス・コンプレックスの語源にもなっている有名な話です。 京都を舞台に、刀という日本的な世界と、香水をモチーフに旧家の大迫家の複雑な人間関係を描いた、なんとも美しい映画です。(本当に京本さんには似合う世界です) 映画公開にあわせて装丁された原作本の1バージョンで、登場する男優たちが白い着物姿で花びら舞い散る中、輪になって寝そべっている写真がありましたが(現物はそうでもないんですけど、文字で表現すると凄いなこれ)、他の方には申し訳ないのですが、京本さんだけ別格なほど美しく、ビジュアル的にも違和感無くこの世界観にはまっている感じがしました。 古尾谷氏演じる兄と酒場で再会するシーンでは、京本さんにはセリフは全くないものの、今も変わらぬその目力を駆使しての演技は、圧倒的でしかも美しく、京本さん演じる剛生の複雑な内面を見事に表現していました。横にいるフランス人のおじさんなんか本当にどうでもよくなりました。ええ。 今日まで、サスペンスもの等で数え切れないほど殺され、美しく思い切りのいい死に様で私たちを堪能させてくれてきた京本さんですが、その走りともいえるのがこの映画でした。 死の間際、駆け付けた兄にそれとは知らせず、ベットの中でまるで眠りから醒めたようにぽつぽつと語る剛生。 「僕は汚い」と己の半生を振り返り、吐き捨てるように呟いた彼は、本当は、登場人物の中で一番穢れていない人物だったのではないでしょうか。 そして、穢れを許せない潔癖な彼の性格が出ていたように思えます。 いよいよ最後のときに、目を見開き、歯をむき出してもう1人の兄に成し遂げた復讐を哂う姿は、本当の人間の姿を浮きぼりにしていたようにも見え、演技を超えたものを見た気さえしました。 そして私は、この後、彼の遺言である安村さんに戸籍を返す事を誰が成し遂げてくれたのか、最後まで気になって仕方なかったです。いい人だと剛生も念を押していたのに。 ストーリーが複雑で難解な部分もありますが、耽美で日本的な美しさに溢れた作品です。 京本ファンにはたまらないほど、和の美しさが詰まった映像美と人間模様が織り成すストーリーを是非ご堪能下さい。 1986/9/13(角川)公開作品
Written by:データ:咲 解説:桂、Drawn by:だんな |