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<スタッフ>
プロデューサー:山内久司 脚本:吉田剛 監督:広瀬襄 撮影:石原興 <キャスト> 中村主水:藤田まこと 加代:鮎川いずみ 竜:京本政樹 政:村上弘明 西順之助:ひかる一平 他 必殺シリーズの映画版第2弾。TVシリーズで大人気を博した秀・勇次のコンビから竜・政のコンビにバトンタッチ後も、その人気は衰えることを知らず、益々新たなファンを増やしつつ快調に放映を続ける本シリーズから、新たな魅力満載の本作品が生まれました。 物語は幕末(Xが幕末が舞台だったとは、この映画を見るまで知りませんでした!)、江戸・品川宿で上方への使者を警護する中村主水たちが、目の前でその使者を殺され、密書を奪われたところから始まります。 奪われた密書を追いかける主水は、忍びの技を使うものが更に密書を奪っていくのを目撃します。 その夜、政や加代、竜、順之助までもが何者かに襲われ、おりくのところに逃げ延びてきます。そこにも現れる追っ手の一団。「主水はどこだ?」 品川宿で密書を狙ったのは、猿屋町の元締め率いる仕事人達だった。彼らは密書を奪ったのが主水だと思っているのだ。 一方主水は、上役の田中と共に奪われた密書を奪い返す任を命じられる。密書の中身とは、幕府が帝を擁立せんとする敵が現れたとき、御所諸とも帝を爆破する仕掛けを施した黒谷屋敷の沽券(権利書)と絵図面であった。 主水を追って加代たちも京に向かいます。 京に舞台を変え、黒谷屋敷を巡って、京の仕事人一味、外国の武器商人ブラウン、新撰組、(せんとりつも。あ、田中様も)などが入り乱れて大混乱、どう収拾つけるんだと一時はハラハラしますが、流石、必殺、最後は綺麗に決めてくれます。 全編コメディタッチの本作は、オープニングから、名曲「旅愁」をコミカルにアレンジした音楽で始まります。当時流行った「インディジョーンズ」のパロディも楽しめる、大人から子供まで楽しめる超娯楽作に仕上がっています。 出演者も豪華で愉快な配役です。いつものレギュラー陣に加え「新撰組の星」沖田総司に明石家さんま「新撰組の太陽」土方歳三に西川のりおというハチャメチャさ。 京都の元締め(実は公家だった!)丑寅の角助に笑福亭鶴瓶、密書を狙う御公儀隠密に、森田健作、柏原芳恵。黒谷屋敷の御守役に、沖田浩之、兵頭ゆき、塩沢とき、高田純次等々、映画ならではの豪華なキャスティングです。 また、前作「必殺!」に続いて、謎の女お葉役で中井貴恵が引き続き出演しています。(てことは、あれも幕末ですか?うう〜ん) 見所は全部と言っても過言で無いほど、ワンシーンワンシーンが、全て美しく撮影されています。元々必殺は、映画と見紛うばかりに綺麗に撮られていますが(普通の時代劇の三倍の照明だそうです!)、 それが本物の映画になるとこうまで綺麗ですか!と感嘆しきりの全シーン。お見事です。特に力の入る殺しのシーンは、様々な工夫と絶妙なライティングで、溜息しかもう出ません。ほぅ。 特に綺麗なのは、仕事料を分け合うところ。一人主水だけが遠くから歩いてくるこのシーン、明かりの中に黒く浮かび上がる主水の影が、セリフ以上に存在を語り、悲哀と強さを感じます。「俺達ゃな、仕事人だぜ」と言った後の各々のアップにも、明暗を上手く使い分ける松竹撮影所の技術にうなり声しか出ません。 外人の(ナニ人なんでしょう?)武器商人に、黒谷屋敷を渡すまいと体を張る格助が、無残にも銃に撃たれて絶命し、屋敷の御守役たちもが殺されていく姿を見つめ、仕事人たちは、彼らの恨みを晴らすことになります。 大仕事には、(初めからは)参加させてもらえなかった順之助が、今回始めて「大人になったので」最初から参加するところは、シリーズを見続けた視聴者には、時の流れを感じます。
この映画といえば、ファンの間では『京本さんが大怪我をした映画』として、心に刻まれておりますが、立ち回りのシーンはほぼ撮影済みだったとはいえ、時折、怪我を押しての出演シーンも垣間見れます。何となく見逃してしまいますが、よく考えると不自然な、『ブラウン館に乗り込むとき、紐を投げる竜が後ろの木に寄りかかってるところ』とかは怪我の後の撮影です。 組紐屋の竜を演じる京本さんの魅力は、言うまでも無いほどファンの人たちならご存知でいらっしゃいますが、本作における竜の魅力は『意外に熱かった竜』でしょうか? クールで無口なイメージの竜が、驚いたりほっとしたり、無念さに唇を振るわせたりとTVシリーズではお目にかかれない表情を垣間見せてくれます。 TVシリーズでお目にかかれないといえば、旅装束姿も滅多にお目にかかれないので、貴重かもしれません。 そして、新調の衣装が(よく新調するなぁ)、今では京本カラーとして定着した紫!(もちろん裏地は赤!)とてもお似合いです。ええ。 殺しのシーンが何度も見られるというのも、映画ならではのお楽しみのひとつですが、Xは番組開始当初からコメディ色が強く、そのカラーがここに極まった感もあります。 美しくてカッコいいのに、荒唐無稽なシーンの数々に、笑うやら見惚れるやらしているうちに、あっと言う間に最後まで見終わってしまいました。 京本さんなら今でも竜を演じられそうですが、でもやはり、あのときの竜は、澄んだ泉の底にある美しい宝石のような存在で、また手に取って見ることが出来ないからこそ、何十年経っても色褪せずに、私たちを魅了してやまないのだと思います。 軟派路線の最高峰と言われ、昔からの必殺ファンの皆様は、あまりお気に召さないようですが、『TVや映画は最大の娯楽』と、楽しませる事に徹した内容には、潔さすら感じます。現代では制作不可能な作風なだけに、こういう時代劇が映画として残っていることはある意味、貴重なのではないでしょうか。 1985年作品
Written by:桂、Drawn by:竜歌 |